日本語学校DX化で留学生教育を変革する

日本語学校は留学生にとって日本での学びの入り口

日本に留学する外国人は年々増加しており、2019年には約31万人に達しました。その多くは日本語学校からスタートし、その後専門学校や大学などに進学します。日本語学校は留学生にとって日本での学びの入り口ですが、IT化が遅れているという問題があります

日本語学校の教師や職員のITスキル不足や設備不備

日本語教育機関協議会（JAFSA）が2020年に行ったアンケート調査の記事によると、日本語教育機関の約7割がオンライン授業を実施していないか、あるいは実施しても不十分だと回答しました。また、オンライン授業を実施している機関でも、日本語教師や職員のITスキル不足や設備不備などの課題を抱えていました。

日本語学校DX化の必要性

コロナ禍でオンライン教育や情報管理が必要になったことで、日本語学校DX（デジタルトランスフォーメーション）化の必要性が高まっています。DX化とは、今注目されているデジタル技術を活用して業務やサービスを変革することです。文部科学省が提案するGIGAスクール構想にあるICT活動など教育DXの重要性は高くなっています。日本語学校DX化が学校経営、学生募集などのプレスリリース、日本語教師や職員にどのようなメリットをもたらすのか、課題や具体的な解決策を紹介します。日本語学校DX化によって、留学生教育の質や効率がどう向上するのかを解説します。

日本語学校が抱える問題点について

日本には、外国人留学生を受け入れる日本語教育機関が747校あります。これらの日本語学校は、留学生に日本語の基礎から応用までのジャンル教育をするだけではなく、大学や専門学校への進学や就職のサポートも行っています。しかし、近年、日本語学校にはさまざまな問題が指摘されています。

• 日本語教育の質の担保ができない

  日本語学校には、「留学」ビザで最長2年間在籍できますが、非漢字圏からの留学生にとって大学入学レベルの日本語力習得には非常な困難が伴います。また、一部の日本語学校では、出稼ぎ目的の外国人が留学の名目で来日し、その「受け皿」になっているところや、教育の質が伴わないところもあるといわれています。さらに、コロナ禍でオンライン授業が増えたことで、生徒と日本語教師のコミュニケーションやフィードバックが十分に行われない場合もありました。

• 日本語学校の慢性的な人手不足

  日本語教師は専門的な知識や技能を持つ必要がありますが、その養成や確保には時間や費用がかかります。また、日本語教師は低賃金や不安定な雇用状況に置かれることも多く3、離職率も高いという現状があります。さらに、コロナ禍で留学生数が減少したことで、個々の日本語学校やグループ校全体の経営が悪化し、教師の解雇や減給が起きる場合もあります。

• 日本語学校の教育の国際化対応の遅れ

  日本語学校は、日本語だけでなく、日本の文化や社会についても教える必要があります。しかし、日本語教師や職員は、多様な国籍や文化を持つ留学生に対応できるだけの知識や経験を持っているとは限りません。また、日本語学校は、他国の言語教育機関との連携や交流を行うことで、教育の質や効果を高めることができますが、そのような取り組みはまだ十分ではありません。

日本語学校DX化のメリット

日本語学校が抱える問題点に対処するために、日本語学校DX化が必要だという主張が出てきています。DXとは、デジタル技術を活用して、組織や事業の変革を行うことです。日本語学校DX化には、以下のようなメリットが期待できます。

• 日本語教育の質や効率の向上

  日本語学校DX化により、パソコンやスマートフォンなどの端末を使ったZoomオンラインレッスンのようなオンライン授業や自己学習を支援するシステムやコンテンツを開発したり、クラウド上にある生徒の学習状況や成果を分析したりすることができます。また、日本語学校DX化は、生徒と教師のコミュニケーションやフィードバックを円滑にしたり、生徒同士の交流や協働学習を促進したりすることもできます。さらに、日本語教師の資質向上のための勉強会やイベントやセミナー、ネットワークを活用してのオンラインイベントやオンラインレッスン、参加型ワークショップの開催などにより質の高い授業つくりができます。

• 日本語学校の人材の確保や活用

  日本語学校DX化により、日本語教師の養成や研修をオンラインで行ったり、例えば東京などの遠隔地に住んでいる優秀な、授業づくり主催日本語教師や語学主催日本語教師をリモートで採用したりすることができます。また、日本語学校DX化は、日本語教師や職員の業務効率を高めたり、働き方改革を推進したりすることもできます。

• 日本語学校の教育の国際化

  日本語学校DX化により、他国の言語教育機関との連携や交流をオンラインで行ったり、異文化理解やグローバルコンピテンスを育むプログラムを提供したりすることができます。また日本語学校DX化により、大手通信販売サイトamazonのように多他国籍対応し、留学生に対応できるだけの知識や経験を持つ日本語教師や職員を育成したり、留学生からフィードバックを受けたりすることもできます。

日本語学校DX化の課題

日本語学校DX化を進めるにはいくつかの課題と解決策について

• 導入コストの負担

  日本語学校DX化を進めるためには、情報処理システムやコンテンツの開発や導入にかかる費用や時間が必要です。また、日本語学校DX化に対応できるだけの設備や環境も整備しなければならないでしょう。日本語学校は、留学生数の減少や経営の悪化により、資金的に余裕がない場合が多いと思われます。そのため、日本語学校DX化に必要なコストを捻出することが難しいかもしれません。しかし、経済産業省が中小企業・小規模事業者等がビジネス遂行上の自社の課題やニーズに合ったITツールや商品の導入を支援する補助金であるIT導入補助金を活用すれば負担額の軽減が可能です。

• 日本語教師や職員のスキル

  日本語学校DX化のためには、日本語教師や職員がIT機器やソフトウェアの操作や活用法を習得する必要があります。しかし、日本語教師や職員は、ITに関する知識や経験が不足している場合が多いと思われます。そのため、日本語学校DX化に必要なスキルを身につけることが難しいかもしれません。例えばDX学校岡山J&C校などでIT導入の学びIT導入士などの資格を取得することで日本語学校DX化の推進ができます。講座の授業料については、厚生労働省が中小企業・小規模事業者向けに新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」を活用すれば負担額の軽減が可能です。

• セキュリティの問題

  日本語学校DXのためには、システムや日本語学校が扱うコンテンツやデータの保護や管理に注意する必要があります。しかし、日本語学校は、セキュリティに関する知識や対策が不十分な場合が多いと思われます。そのため、日本語学校DX化に伴うセキュリティのリスクを回避するために、留学生や日本語教師や職員のプライバシーや人権を尊重し, 適切な管理や保護を行うことが必要です。

日本語学校DX化に向けて大切なこと

日本語学校DX化は、教育の質や効率の向上、人材の確保や活用、教育の国際化などのメリットが期待できますが、まだ導入事例も多くなくコストやスキルやセキュリティなどの課題もあります。日本語学校は、これらのメリットと課題を十分に検討し、自分たちのニーズや状況に合ったDX化の方法を探る必要があるでしょう。また、政府や関係機関も、日本語学校DX化を支援するための制度や予算を整備し、ベストプラクティスやノウハウを共有することも重要です。

日本語学校は、外国人留学生に日本語を教えるだけでなく、日本社会への架け橋としても大きな役割を担っています。日本語学校DX化は、その役割をより効果的に果たすための一つの手段です。日本語学校DX化に積極的に取り組むことで、留学生は日本語だけでなく、日本文化や社会にも触れることができるようになります。そして、留学生は日本で学んだことを母国や世界で活かすことができるようになります。そうした留学生は、日本と他国との友好や協力を深めることに貢献するでしょう。

日本語学校DX化は、海外からのお客様である留学生だけでなく、日本社会にとっても有益なことです。日本語学校DX化のメリットと課題を見極め、自らの教育の質や効率を高めることを目指すべきです。そして、日本語学校DX化を通じて、留学生にとっても日本社会にとっても価値ある存在であることを示すべきです。

いかがでしたでしょうか？ご不明点についてはお問合せ下さい

• Go back